その頃、亀山文化会館が完成した。
館長は俺達のバンド活動を初期の頃から応援してくれている人で
「こけら落とし、せんか?」と言うことで当然やることに。
ブランクがあるのでいくつかのバンドを呼んだ。
そいつらはみんな真面目に取り組んだ。
俺たちはと言うと
曲を決めて、カセットを配り
後は、個人練習でのぶっつけ本番。
ステージの上で初めてメンバーが揃う。
リハーサルに間に合わないやつもいた。(寝てた)
オカサンは妹の順ちゃんのピンクのレオタードを持ってきて
「これで出る」と言い張ったがジーパンだけ履かせた。
「俺、ミック・ジャガーやで、たっけん、キース・リチャードな」
「おー、いいねー、いこうぜー」
本番になると、得意(特異)の踊りで演奏中の俺たちを笑わせた。
よく聞くと、まったく歌詞を覚えてない。
You can’t always get what you wantなんか
俺に近寄ってきて、毎回出だしを歌わせた。
演奏が始まれば、歌詞は出てくるもんだと思っていたらしい。
相変わらず、考えが甘い。
急なわりに、客は350人程入った。
オカサンはこのときの映像を「封印してくれ」と言っていた。
唯一、「Jumpin’ Jack Flashはいけるな」とも。