それから年月は流れ
オカサンは 月の庭で全国的に有名になった。
俺は 変わったフェンス屋で地元に知られた。
子供たちも成長した。
亀中の運動会は、毎年、城の下で飲んでいた。
そこへ毎年オカサンも立ち寄った。
「たっけん、俺、ションベに血が混じるんやけど」
「ガンちゃうのかよー」
「あほー」
「ガンやったら、レコード全部くれよ」
「おー、まかせるわー」
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ガンだった。
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「レコードくれよ」
「いま、ゆうか」
「死んでからでは遅いやんけ」
「あほー、なおすわー」
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それから、何度も手術をすすめたが
オカサンは自然治癒を信じて動かなかった。