病院や、通夜、お葬式に来ていた人たちは皆
「マサルさん、ありがとう」と言っていた。
オカサンは、みんなに 何かを与えていたんだろう。
気付いてない物を気付かしたり、眠っている物を起したりしたんだろう。
でも、オカサンも探していた。
実際、「次、何しよか 探しとる」と言っていた。
「もう、あれや これは やめや」とも。
「そーやでオカサン。楷書ができてから草書やで」
「相変わらず、言う事がきついのー」
月の庭が休みの日、オカサンに呼ばれて2人でコーヒーを飲んだ。
月の庭ではこの会話が最後になった。
人はいつか死ぬんだ。と心に置いた。
じゃあ、悔いの無いように生きようと、心に決めた。
楷書と草書か。
オカサンに教えられたようだ。